TC研とは

 トータルコミュニケーション研究会(略称「TC研」)は、「トータルコミュニケーションに関する研究およびその普及啓発を図ること」を目的とする団体です(規約第2条)。

 では、「トータルコミュニケーション」とは何でしょうか。
 「TCの父」と言われるホルコム氏がトータルコミュニケーションを提唱したときのTCの定義は

 TCとは、子供の個々のコミュニケーション・ニードに基礎をおいた指導理念である。TCの構成要素としてはスピーチ、手話言語(古い手話、SEE、かしら指文字を使った新しい手話)、読話、聴能訓練、指文字がある。

というものでした。
 この趣旨は、アメリカでそれまで支配的だった「口話主義」、つまり口話法という「方法に聴覚障害児を合わせる」やり方を180度転換して「聴覚障害児に方法を合わせる」という理念を提唱することでした。「子供の要求する方法」としてはASLから聴覚口話法まで、あらゆる方法を容認したのです。
 ところがアメリカでのTCの実際の展開は、口話と手話の同時的使用の方法ーSEE1、SEE2、サインドイングリッシュ、などーのいずれがよいかといった議論の方向へどんどん逸れていってしまいました。その結果、

  TC=口話併用手話を用いること、

といった特定のコミュニケーション方法であるかのように受けとられるようになってしまったのです。
 ホルコム氏が提唱した本来のTCは聴覚障害児のコミュニケーションを口話主義の呪縛から解放聴覚障害者・ろう者が要求するコミュニケーション手段を尊重する理念であって、特定のコミュニケーション方法の選択を意味するものではなかったのです。
 TC研の事業の中心である夏の研究大会は、昨年第20回の記念大会を催しました(1978年に第1回大会)。会としての正式の発足は第1回研究大会の3年後の1981年です。
 ろう教育の研究会といえば、ろう学校教師(その大部分は聴者)が中心で、当事者たる聴覚障害者は「蚊帳の外」でした。
 TC研は、ろう教育の当事者である聴覚障害者が聞こえる教師や親や研究者らと共にろう教育について研究する、日本で初めての組織です。

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